色素試験(しきそしけん、dye test)とはトキソプラズマ検出に用いられる血清反応。トキソプラズマのタキゾイトはアルカリ性メチレンブルーにより染色されるが、アクセサリー・ファクターと呼ばれる補体様因子の存在下で抗体の作用を受けると細胞が変性し、アルカリ性メチレンブルーに不染となる性質を利用した試験方法。
タキゾイト(tachyzoit)とはアピコンプレックス門の原虫のうち、中間宿主を必要とする種において中間宿主の細胞内で急速に発育し、形成される娘虫体。タキゾイトは分裂により増殖した後、細胞を破壊して細胞外へ移行し、新しい細胞へ侵入し、増殖をするというサイクルを繰り返す。ヒトや豚でのToxiplasma gondii感染例ではこの時期にトキソプラズマ症を示す。
終宿主(しゅうしゅくしゅ、英:definitive host)とは寄生虫の生活環において有性生殖が行われる宿主。これに対する概念として発育あるいは無性生殖のみを行う中間宿主が存在する。一般に中間宿主を必要とする種では仮に中間宿主を介さず、終宿主に侵入したとしてもその生活環は完成しない。例として、日本産肝蛭(Fasciola sp.)では終宿主は牛、羊、豚、ヒトであり、中間宿主はヒメモノアラガイである。トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は終宿主はネコ科動物、中間宿主はヒト、豚などであるが、必ずしも中間宿主を必要としない。トリヒナのように終宿主と中間宿主が同じ動物種である例も存在する。
ブラディゾイト(bradyzoite)とはサルコシスチス属やトキソプラズマ属などにおいて認められるシスト内に多数形成された虫体の総称。内部出芽により二分裂を行うが、タキゾイトと比較してその分裂速度は遅い。トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)において中間宿主から検出される虫体はブラディゾイトかタキゾイトである。
アルゼンチナ病(あるぜんちなびょう、英:tristeza)とはBabesia bovis寄生によるウシのバベシア症である。本病とBabesia bigemina感染を原因とするダニ熱は、家畜伝染病予防法における法定伝染病であるピロプラズマ病に指定されている。
媾疫(こうえき、dourine)とはTripanosoma equiperdum感染を原因とする馬の感染症。ラバやロバにも感染するが通常は無症状。ベクターを必要としない唯一の病原性トリパノソーマ。

トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は、アピコンプレックス門コクシジウム(亜)綱に属する寄生性原生生物の一種。幅2-3μm、長さ4-7μmの半月形の単細胞生物で、ヒトを含む幅広い恒温動物に寄生してトキソプラズマ症を引き起こす。通常は免疫系により抑え込まれるため大きな問題とはなりにくいが、免疫不全の状態では重篤あるいは致死的な状態となりうる。特に妊娠初期に初感染した場合、胎児が重篤な障害を負うことがある。
オーシスト(oocyst)とは原虫の生活環におけるステージの一つ。接合子の周囲に被膜、被殻が形成されたもの。接合子(ザイゴート)がオーシストを形成し、その内部にスポロシスト、スポロゾイトが形成される過程をスポロゴニーと呼ぶ。
スポロシスト(sporocyst)あるいはスポロキストはある種の寄生虫の生活史のステージのひとつで、胞子・芽胞(spore)をもつ嚢子・シスト(cyst)を意味する。原生動物のアピコンプレックス門の生活史のステージのひとつと、扁形動物の吸虫の生活史に登場する幼生のひとつにこの名称で呼ばれるものがある。
中間宿主(ちゅうかんしゅくしゅ、intermediate host)とはある種の寄生虫において幼生期の発育を行い、成虫が有性生殖を行う宿主が別の動物である場合の宿主。これに対して成虫が有性生殖を行う宿主を終宿主と呼ぶ。一般に中間宿主を必要とする種では仮に中間宿主を介さず、終宿主に侵入したとしてもその生活環は完成しない。例外としてトキソプラズマ(Toxiplaspa gondii)ではヒトやブタなどが中間宿主であり、ネコが終宿主であるが、中間宿主を介さずネコに移行しても生活環は完成する。また、旋毛虫(Trichinella spiralisなど)ではその生活環に複数の動物を必要とするが、同種動物間によっても生活環は完成するため、中間宿主と終宿主の区別がないといえる。発育過程に複数の中間宿主を必要とする種も存在し、その場合は前期の発育を行う宿主を第一中間宿主、後期の発育を行う宿主を第二中間宿主と呼ぶ。例として槍型吸虫(Dicrocoelium chinensis)ではヤマホタルガイが第一中間宿主、クロヤマアリが第二中間宿主であり、ヒツジ、シカ、ウシなどが終宿主である。発育に必ずしも必要でないが、中間宿主と終宿主の橋渡しの役割を果たすことのできる宿主を待機宿主と呼ぶ。
夏癬(かせん、kasen disease)とは頸部糸状虫(Onchocerca cervicalis)寄生を原因とする馬の寄生虫病。頭部、頸部、胸部などに掻痒を伴う丘疹状の結節を生じる。夏季に多発する。夏癬の原因としてミクロフィラリアによると機械的刺激を原因とする説と中間宿主であるヌカカに対するアレルギー反応が原因とする説がある。治療には抗糸状虫剤、抗ヒスタミン剤が用いられる。予防には昆虫の防除および止痒薬の投与を行う。
アナプラズマ病(anaplasmosis)とはAnaplasma marginaleあるいはAnaplasma centrale感染を原因とする牛の感染症。Anaplasma marginale感染を原因とするアナプラズマ病は家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定されている。感染はマダニ類や吸血動物媒介性であり、これらの媒介動物はバベシアやタイレリアも同時に媒介するため混合感染の比率が高い。発熱、貧血、黄疸などの症状を示し、その症状は若齢では弱く、高齢になるほど強くなる。診断は血液塗抹のギムザ染色、CF反応、毛細管凝集反応、間接蛍光抗体法により行う。治療にはテトラサイクリン系抗生物質が有効。予防はマダニ類や吸血動物の駆除が有効である。
麻痺性筋色素尿症(まひせいきんしきそにょうしょう、paralytic myoglobinuria)とは数日の休養の後に激しい運動をさせた時に発生する牛や馬の疾病。蓄積されたグリコーゲンが著しい代謝により過剰の乳酸を生成し、それが血中に移行せず、筋に残ることを原因とする。発汗、心拍数や呼吸数の増加、体温の上昇、後肢麻痺、起立不能などの多様な症状を示す。尿はミオグロビン流出により暗赤色を呈する。血液検査では筋の壊死の程度によりCK、SAT、LDHの上昇が認められる。コルチコステロイド、ジメチルスルホキシド、非ステロイド系抗炎症薬、トランキライザー、鎮痛薬が治療に用いられる。利尿剤の使用は通常は禁忌である。
トキソプラズマ症とは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染症である。世界中で見られる感染症で、世界人口の3分の1が感染していると推測されているが、有病率には地域で大きな差がある。健康な成人の場合には、感染しても無徴候に留まるか、せいぜい数週間のあいだ軽い風邪のような症状が出る程度である。しかし胎児・幼児や臓器移植やエイズの患者など、免疫抑制状態にある場合には重症化して死に至ることもあり、重篤な日和見感染症といえる。重症化した場合には、脳炎や神経系疾患をおこしたり、肺・心臓・肝臓・眼球などに悪影響をおよぼす。予防するためのワクチンはない。
網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう、英 pigmentary degeneration of the retina, 羅 degeneration pigmentosa retinae)は、眼科疾患の一つで、中途失明の3大原因の一つである。数千人に一人の頻度で起こるとされており、盲学校ではこの病気の生徒が一番多い。
ピロプラズマ症(ぴろぷらずましょう、英:piroplasmia)とは住血胞子虫と呼ばれるピロプラズマ目に属する原虫の寄生を原因とする寄生虫病。ピロプラズマ目の原虫はウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、トナカイなどが宿主となる。タイレリアはリンパ球において、バベシアは赤血球においてシゾゴニーを行う。
補体結合反応(ほたいけつごうはんのう、英:complement fixation test)とは抗原抗体複合体と補体が結合する性質を利用した反応。抗原、抗体、補体が存在する溶液内では抗原が抗体に特異的に結合し、その抗原抗体複合体に非特異的に補体が結合する。また、補体は感作赤血球と結合して溶血を起こす。検体に一定量の抗原と補体を加え、一定時間反応させた後の感作赤血球を加えると、検体内に抗体が存在する場合には抗原抗体複合体に補体が結合し、感作赤血球に結合する補体がなくなるため溶血を示さない。反対に検体内に抗体が存在しない場合は溶血を示す。つまり、補体結合反応では溶血を示さなければ陽性、示せば陰性である。

バベシア症(ばべしあしょう、babesiosis)とはバベシア属の原虫感染を原因とする感染症。マダニの吸血の際に唾液を介してスポロゾイトが宿主内に侵入する。日本ではBabesia gibsoniおよびBabesia canis感染による犬のバベシア症が存在する。症状は発熱と溶血性貧血を主とする。クームス試験陽性となることが多く免疫介在性溶血性貧血との鑑別が必要。確定診断は虫体の証明によってなされ、ライトギムザ染色あるいはギムザ染色などが用いられる。虫体は1.0×3.2μmのリング状。治療にはジミナゼン、イミドカルブ、フェミジン、トリパンブルーなどの投与。予防にはマダニとの接触を避けることが最も有効である。
水腫性変性(英:hydropic degeneration)とは細胞質内にタンパク質含量の少ない液体が取り込まれることにより細胞基質が拡大し、組織や細胞が淡明に観察される状態。細胞外の血管内圧、浸透圧などの上昇により肝細胞や腎尿細管上皮細胞に出現する。水腫性変性において細胞内に貯留した液体は通常はHE染色ではほとんど染色されない。
アスコリーテスト(Ascoli's test)とは炭疽の診断法の一つ。炭疽に感染した疑いのある動物の血液あるいは脾臓を乳剤とし、30分間沸騰水中で加熱したものを濾過する。この濾過液と診断用抗炭疽血清を用いて重層法による沈降反応を行う。陽性であれば濾過液と血清の境界部に白濁リングが形成される。ただし、アスコリーテストは必ずしも炭疽菌に特異的ではなく、他のBacillus属菌で陽性を示すことがある。
色素細胞(しきそさいぼう、英:pigment cell)とは多数の偽足状の細胞質突起を有する不定形の細胞。細胞質内に多数の球形顆粒を有する。脈絡膜、虹彩、真皮などに分布。神経堤由来。
コラシジウム(coracidium)とは擬葉目、裂頭条虫科の条虫の生活環の1ステージ。終宿主から排出された虫卵が外界で発育し、その内部に形成される第1期幼虫。第1中間宿主であるケンミジンコに摂取されると、プロセルコイドへと発育する。

メチレンブルー (methylene blue) は色素の一種。メチレン青ともいう。IUPAC名は 3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジニウムクロリド。

生物学において、染色(せんしょく)とは、特定の生物組織、細胞、オルガネラなどに、特殊な色素を用いて色を付ける実験技術のこと。特に、顕微鏡での観察をより容易にするため、観察に先立って染色が行われることが多い。例えば、組織中の一つの細胞を顕微鏡で観察する場合、そのままでも形態の違いだけから結合組織中の細胞や、細胞中の細胞核を見分けることは可能であるが、あらかじめ細胞質や核を染色すればそれぞれの観察が容易になる。
色素体(もしくはプラスチド、英: plastid, chromatophore)は植物や藻類などに見られ、光合成をはじめとする同化作用、糖や脂肪などの貯蔵、様々な種類の化合物の合成などを担う、半自律的な細胞小器官の総称である。代表的なものとして葉緑体がある。

DAPI(だーぴー / だぴ、4',6-diamidino-2-phenylindole)は染色に用いられる蛍光色素の一種で、DNAに対して強力に結合する物質である。蛍光顕微鏡観察に広く利用されている。
ミラシジウム(miracidium)あるいはミラキディウムは、吸虫の二生類において卵の卵殻内に形成される幼生。「幼若なもの」を意味するギリシア語 meirakídion の近世ラテン語形より命名。体表を被う表皮細胞には繊毛があり、口と消化管を欠くが、眼点、分泌腺、神経節、原腎管を有し、また体壁に大型の胚細胞が多数存在する。二生類のアロイオゲネシスと呼ばれる複雑な生活史における第一代の幼生である。
アルコールテストとは乳の理化学検査の一つで、アルコールの脱水性を利用して、カゼインが70%アルコールとの混和によって凝固しやすくなった乳を判別する方法。凝固物の有無と凝固の程度をみる。高酸度乳、末期乳、乳房炎乳などはタンパク質の変性をきたして加熱により凝固しやすくなり、陽性を示す。
脂肪変性(しぼうへんせい、英:fatty degeneration)とは細胞質内に形態学的に観察可能な脂肪滴が出現している状態。脂肪化とも呼ばれる。脂肪変性は中性脂肪の異常蓄積により出現する。パラフィン切片では脂肪滴は空胞として観察される。脂肪変性の識別には凍結切片による脂肪染色が必要であり、中性脂肪はズダンIIIでは橙色、Oil-red-O染色では紅色、ナイル青では赤色、オスミウム酸では黒色に染まる。

毛包虫症(もうほうちゅうしょう、英:demodicosis)とはニキビダニ(Demodex spp.)が毛包あるいは皮脂腺に寄生することを原因とする疾病。イヌ、ウシ、ブタで多くみられ、ネコでは稀。全身性あるいは眼、口周囲、四肢端などの局所性に脱毛、落屑、痂皮、脂漏、色素沈着、化膿などが認められる。掻痒はないあるいは軽度。診断は病変部よりニキビダニの検出あるいは皮膚生検による。膿皮症、真菌性皮膚炎、脂漏症、甲状腺機能亢進症などとの鑑別が必要。治療にはイベルメクチンが用いられる。膿皮症が併発している場合は抗菌薬を使用する。